鍵開けの技術
鍵開け・ピッキングとは?
鍵開けとは、自宅の玄関やドア、車やロッカーなどの錠前に定められた鍵を使わずに特殊な用具などを用いて、解錠することです。
ドラマや映画などで度々目にするピッキングが必要になるのは、
- 鍵をどこかへ忘れたり置いてきてしまった
- 鍵が折れたり曲がったり、もしくは欠けたりして使えなくなった
- 何らかの理由で鍵の盗難にあった
大半の場合、上記3つのうちのいずれかの理由になります。
「やることもあるし、寒いし、早く家の中に入りたい…」
「外出先で車のキーをなくしてしまって自宅へ帰ろうにも帰れない…」
「これから大切な取引があるのにオフィスに入れない…」
このような事情が絡むと、一秒でも早く鍵を開ける必要があるでしょう。
そんなときに頼りになるのが鍵業者です。
鍵業者は特殊なピッキングツールを駆使して、シリンダー錠から電子錠まで様々な鍵の錠前破りを行います。
ちなみに、このような特殊なピッキングツールは犯罪目的で悪用される恐れがあるため、鍵業者にのみ所持や使用を許されています。
市販されているものもありますが、よほど慣れていない限り、100円ショップで売られている南京錠くらいしか開けることができません。
そもそも、許可なくピッキングツールを持ち歩いていると法律で罰せられることさえあるのです。
近年では自転車の窃盗が相次いでいるため、警察の目も非常に厳しくなっています。
特殊用具「ピックとテンション」
鍵屋さんや鍵師さんは、通常の鍵で錠前が開けられなくなったとき、ピックとテンションと呼ばれる特殊用具を用いて錠前を開錠することになります。
ピック
ピックをシリンダー内部へ挿入し、内部のピンを押し込んで鍵を開けます。ヘアピンを加工してピッキングする場合も、これと同じ原理で解錠を試みているのです。
さまざまな種類があり、一番ポピュラーなフックピックをはじめ、ダイヤモンドピックやレークピックなど先端が複雑になっているものや、丸い先端のボールピックなどもあります。
テンション
ピックとともに使用する用具としてテンションというものがあります。テンションは、シリンダーの内部や回転部分に力を加えたり、固定したりする役割の道具です。
テンションもさまざまな種類や形状があり、L字型のもの、N型のもの、J型のものなど多岐にわたります。
また、先端部分だけでなく全体の形状が特殊なものなどもあります。
錠前の構造
前述のピックやテンションなどを駆使して開錠しますが、すべて同じ技術で解錠できるわけではありません。
鍵の種類によってシリンダー内部の構造も大きく異なるため、知識や経験がものをいう領域でもあります。
ただ、日本国内で最も普及しているのは構造が単純なピンシリンダー(ピンタンブラー)式やディスクシリンダー式の錠前です。
ポピュラーな鍵であるため、開ける方法はネット上にたくさん転がっていますが、それに伴い被害も多発しています。
「自力でなんとか開けられる=防犯性能が低い」という証明でもあるので、鍵を紛失した場合は錠前ごと交換したほうが無難かもしれません。
これらよりは構造が複雑で、半月状の形をしているのがロータリーシリンダーです。
そして、破錠に対する耐久性も高いディンプルシリンダーもあります。
電子錠などに比べれば合鍵作成や鍵開けサービスの値段も手頃なため、防犯性の観点から注目されているようです。
鍵業者に必要な資格とは
鍵業者は、万が一大切な鍵を紛失してしまったときに頼りになる存在です。
ピッキングはもしものときの助けになる技術であるとともに、空き巣や盗難に悪用される技術であることも間違いありません。
いわばインターネット上におけるハッカーの存在と似ています。
企業や政府のパソコンに侵入して重要な情報を盗み取ったり、一般の個人のコンピュータにアクセスして個人情報を流出させたりすることをハッキングということもありますが、悪用や不正利用が目的の場合はクラッキングと呼びます。
ハッカーとはむしろそういった技術全体を知り尽くしている人々を指します。
言うなれば、空き巣目的といった犯罪・悪用目的で行うものがクラッカーの立場であり、鍵を紛失したときなどのサポートをしてくれる鍵業者は技術や知識に精通しているハッカーという風に例えられるでしょう。
犯罪の手口としては、ピッキング以外にもサムターン回しという手法もポピュラーです。
日本鍵師協会が鍵師の資格制度
日本鍵師協会が鍵師の資格制度を設けており、一級鍵師技能検定試験や二級鍵師技能検定試験を行っています。
この日本鍵師協会では、
- 二級鍵師を一般普及錠の取り付けや取り替えが出来て、一定レベル以上の開錠技術を持つ者
- 一級鍵師を一般普及鍵の取り付けや取り替え技術だけでなく、特殊な鍵の取り付け取り替えの技術も持っている者
と位置づけているようです。
鍵屋になるためには、この資格が絶対に必要というわけではありません。
しかし、一歩間違えば犯罪に悪用されるような技術だからこそ、日本鍵師協会という公認団体からのお墨付きがあった方が安心できるはずです。
鍵開け業者を選ぶ際にも、国が認可している協会や資格を有しているところであれば依頼しやすいのではないでしょうか。